レンズ越しのあい


改めて、立場が変わったことに気付か される。


今までは出来なかったことも、立場上 で近くなっただけで、出来るようにな る。

例えば、ぎゅってしたりとか、き、キ スしたりとか……。


キス……するのかな……?


「あ、静だ」

「ひぁ!?」


驚きすぎて、机に突っ伏して隠れてし まった。

……だ、だって恥ずかしい。


「満里奈、顔上げてごらん?」


その七海の言葉を聞いて、ゆっくりと 顔を上げて、彼をとらえる。


「来週、頑張ろうな」


そう言って柏原くんは自分の席に着い た。

茫然とその姿を見ているしかできな い、あたし。


「良かったね、来週頑張らなくちゃ だ」


七海の言葉を聞いて、また顔に熱が集 まってきた。

来週は、ついに発表だ――。
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