キスして
ビデオ屋さんに着くと12時ぴったりくらいだった。

待ち合わせは12時。

壮陛の姿はまだない。


というか壮陛が自転車って姿が想像出来ない…。

早く見たいな、壮陛の自転車姿。


そんなことを思ってたら壮陛がビデオ屋から出てきた。


白Tシャツに水色のプリントがしてあって、黒の大きなベルト、そして茶色のパンツにカッコイイ茶色の靴。

ハンチングをかぶってほんとにモデルみたい。


わたしはといえば…自転車だからって白のショートパンツとウエッジソールのサンダル、上は黒のタンクトップ。

全然普通…。


もっと勉強しなきゃ…って思ったときだった。


「お前なにボーッとしてんの??」


そう言って壮陛がよってきた。

ヤバイヤバイ、思いっきり見とれてた。


「あ、いやゴメン。もう来てたんだ。」


「ちょっと早く着いたからブラブラしてた。」


そう言いながら首元をポリポリとかく壮陛。

わたしは知ってる。

この仕草をしてるときは照れ隠しなんだ。


何に照れてるんだろ??


「ゴメンね、遅くなって…。どうやってきたの??」


「あ、わりぃ。やっぱチャリがめんどくさくなったからバスで来た。街ブラでもしねぇ??買い物もしてぇし。」


この壮陛の提案でわたしたちは街に繰り出した。

壮陛の買い物に付き合う…。

夢みたい。


わたしはウキウキしてた。
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