キスして
それから帰ることになった。

歩いて駅まで行く。


人の流れは完全に駅方向。

この人数が電車に乗るのかと思うとゾッとした。



「菜穂、どうした??」


壮陛はわたしの方を見下ろして聞いた。


「な、なにが??」


笑顔で上を向き、答える。

なんとなく言われることがわかる。

鼓動が早くなるのがわかった。



「さっきから…変。」


…やっぱり。

自然にもなれないわたしは絶対女優にはなれないな。

元カノのこと、知りたかったのに今じゃ知らなきゃよかったってばかり思ってる。

自信がない。


「そ、そうかな。普通だよ。疲れたのかなぁ??」


笑って前を向いた。




ギュウッ。

そのとき繋いでる手を壮陛が強く握った。


「壮陛?」


手を見てまた壮陛を見た。

またバレたのかな。

もしかして聞いたことフジくんに聞いたのかな!?

鼓動はさらに早くなる。



「嘘つけ。」


顔は真顔ですごく怒ってるように見えた。
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