キスして
ったく。

こいつも被害妄想が激しいんだな…。

自分に自信持てばいいのに…って俺もか。


「修二のやつ、明日ブッ飛ばす。」


菜穂を抱きしめながら言うと暴れながら菜穂が訴えてきた。


「だ、ダメ!!口止めされてるから!!言っちゃダメだよ!!」


胸をポンポン叩きながら言う。

そんなに修二をかばいたいわけだ。

ムーっとしてくる自分がわかった。


「気が向いたら言わない。」


そう言うとまだ暴れて


「ダメダメ!!絶対言わないでよ~!!」


だっておまえ、あいつの言葉で沈んでたんじゃん。

ったく、人がよすぎるんだから…。


「はいはい。わかった。」

気が進まないけど気の抜けた返事をしといた。


「絶対だよ?言ったら……」


「言ったら?」


「言ったら…──ちょっと嫌いになる。」


グサリと心が痛くなった。

それで抱きしめてた手を離した。

それと同時に菜穂も離す。


「てめ、そんくらいで嫌いになるなよ。だいたい口割ったのおまえじゃんか。」


嫌いになるなんて言葉、絶対聞きたくないのに。

言い合いになってしまった。


「そ、それはそうだけど…。」


そう言ってまた俯く。

なんか俺が悪いみたいじゃん…。

また眉落として泣きそうになってるし。


「あーわかったわかった。言わねーから!もう泣くな。」


そう言って髪の毛をクシャクシャっとした。

長い髪が揺れてボサボサになってその姿にプッと笑った。
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