キスして
午前中で今日は終わり。

帰るときになってもミス北洋は現れなかった。


一応テスト前ってことで今日は別々に帰ることにした。

壮陛とはバスが違うから。

帰って勉強もしなきゃ怒られちゃうし。


帰って部屋で勉強してたけどやっぱりミス北洋のことが頭から離れなかった。

どうして元カノといい、ミス北洋といい、キレイな人ばっかりなんだろ。

朝話しかけてる子らだって可愛い子多いし。


心が痛くなってきた。

勉強なんか進むわけがない。

机の上のめくられる事のない数学の教科書が目の前にあった。



何度も壮陛に電話してみようかと思った。

でも壮陛、実は1学期すごく点数悪くて担任に2学期の実力テストで全教科50点以上取らなきゃ追試って言われてたから勉強してるはず。

邪魔になりたくないから自粛した。

明日聞けばいい。

明日まで我慢すればいい。



考えないように、考えないようにして夕食を迎えた。



「菜穂ちゃん、テスト勉強ははかどってる??」


ママが夕食の天ぷらをつつきながら聞いてきた。

また不安な顔つきが取れないのかな…


「うん、なんとか…」

濁すようにしてこの話題を避けようとしてた。


「あ、パパ、わたしバイトとかしちゃダメ??」


別に壮陛と同じところってわけじゃない。

ただ、外で働くってのに興味を持った。

壮陛がするならわたしもやってみたいから。

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