キスして
朝、廊下で涼子ちゃんとフジくんが話してるのを見かけた。

この2人、実はなにやらいい雰囲気になってきてたりするんだ。

涼子ちゃんは活発、素直、可愛いという子だし、そりゃフジくんだってこんな子に好かれたらうれしいよね。



「あ、菜穂ちんおはよ~!!」


わたしに気づいた涼子ちゃんが声をかけた。

いつもの朝。


そしていつもの教室に入る。


いつものように鈴ちゃんのところで話してると涼子ちゃんも来て歓声があがる。

そして壮陛の登場。



なにも変わらないはずなのに胸騒ぎ。

それはきっと廊下の方から教室を見てるミス北洋の姿を見たから。


壮陛にあんな言われて安心したはずなのにやっぱりミス北洋の美貌を見せられるとかなり戸惑う。

きっとミス北洋は壮陛に用事があるんだもん。

壮陛と話すために来てるんだもん。

毎日バイトでわたしのいないところで話すんだもん。



自分で嫌なくらいモヤモヤが襲う。

これがヤキモチなんだね。



「涼風くん♪」


壮陛が机にかばんを置くと教室に入って話しかけてた。

最初の言葉は聞こえたけど何を今話してるのかが騒音にかき消されて聞こえない。


そんなわたしの様子に気づいた鈴ちゃん。


「菜穂、席戻ったら??」


いつものように冷たく言い放たれた。


「ううん、わたしまた…嫉妬しちゃうから。」


壮陛にあたってしまいそうで…。

だから話を聞かない方を選んだ。
< 147 / 245 >

この作品をシェア

pagetop