キスして
予鈴が鳴るとミス北洋は教室を出て行ってた。

わたしは見ないようにしてた。

2人が話すところを。


見たら心が痛いんだもん。



席につくと


「お前、バイト先決めた?」


っていきなり壮陛が話しかけてきた。

何も言ってくれないんだね。

わたしは、さっきこんな話をミス北洋としてたんだよって知りたいのに。

これっておかしいのかな??

いきすぎた感情なのかな??


でも聞くことができなくって


「今日帰って決めるよ。」


ってただの会話をかわした。



このモヤモヤとした感情がわたしを変化させた。

壮陛もバイトするんだし、わたしも早くバイト決めなきゃ!!

って対抗意識を燃やし始めた。



「決めたら電話する前に俺に言えよ?」


またそう言った。


本当は壮陛と同じところでしたい。

ストーカーみたいだけど不安なんだもん。

でも家も遠いし出来ない。


それ、思ってるのわたしだけだよね。

壮陛は一言も言ってくれないし。


「わかった…。」


そう言って黙った。

静かな壮陛がそれから話をふってくることはなく、そのままテストが始まった。
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