キスして
チャイムが鳴ると否応無しに席につかされる。

わたしが席につくと壮陛はこっちを見てた。

でも話しかけてこない。

いつもならわたしから「おはよう。」って言ったりするけど今日は言う気になれなくて…。

そして一言も喋らないまま授業は始まった。



「何か怒ってる?」


そう壮陛が聞いてきたのは3限目の休み時間だった。


「なんで?そんなことないよ。」


そう言ってわたしは鈴ちゃんたちのところへ向かった。

怒ってるのかな??

でも話しかけてくれたことは嬉しかった。

でも気付いてよ、ちゃんと話して欲しいってこと。

怒りと意地がわたしを押さえつけてた。


そして昼休み、壮陛はフジくんのところへ。

屋上には行かなかった。


一言も話さないまま終わり、放課後…またミス北洋が来て2人で教室を出た。

どうして話してくれないの??

どうしてわたしの目の前でそんなことができるの??

好きって言ってくれたよね、付き合ってるんだよね??


「菜穂ちん、大丈夫?わたしがガツンと言おうか??」

心配そうに話しかけてくれる涼子ちゃんに作り笑顔をして

「ちゃんと話すよ、そのうち。ありがとう。わたし面接あるからかえるね。」


そう言って教室を出た。

外は曇り空。

でもわたしの中は大雨だった。


恋って苦しいなぁ。

あの2人は今頃何してるんだろ…。


不安に襲われて窒息しそうだった。
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