キスして
晴れた朝。

あえて学校を休むことを菜穂に伝えなかった。

終わらせて、寝てたって連絡をしよう。


「よう。」

待ち合わせの場所は中学のときよく集まったコンビニ。

マサシが来ていた。


「おう。」

柄にも無く俺は緊張していた。

久々に会う皐の足がない。

それをどういう風に反応すればいいのかまだ分からなかった。

もうすぐ対面するのに。


「皐とは公園で待ち合わせしてるから。しかももう着いてるって。」


心臓がうるさい。

会いたいってわけじゃない。

菜穂に会うときと心情は全然違う。

ただの緊張と戸惑いだ。


一歩一歩近づく公園。

もう少し遠ければいいのにってどんだけ思ったか。


公園に入ったとき、水飲み場の近くの屋根のあるベンチの下に車椅子の人がいた。

横顔、体型、すぐわかる。

皐だと。


「皐!!」

マサシが大声を出すと皐はこっちを見た。

遠いけど目が合ったのがわかる。


「マサシ。…壮陛。」

車椅子を回しながらこっちに向かってくる。

マサシがあんまり動かさないようにか小走りになる。

でも俺は走れなかった。


でも歩く度に近づく。

皐の顔がハッキリと見えたとき、また目が合った。


「壮陛、ごめんね。ほんとにごめんね。」

同時に皐が発した言葉だった。
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