キスして
ミス北洋と付き合ってるってのがよくわかった。

だって教室に全く来なくなったから。

もう落とす必要がないから来る必要がないってことと解釈してた。

大丈夫、辛くない。

大丈夫、わたしは落ち込んでない。


ずっと言い聞かせてた。

自分から別れを選んだくせになんなんだろうな。

でもこの心の内は絶対に人に言えないんだ。



「もうすぐ誕生日でしょ?」

昨日バイトはそのまま休みをもらってたからもちろん出勤。

赤星さんが聞いてきた。

赤星さんといえば、あんなところを目撃したのに一切壮陛の話をしない。

きっとされたくないとをわかってるんだ。

あんなに怒ってたのに不思議だな、とは思ったけどありがたかった。


「はい。今年も家族に祝ってもらいます。」

苦笑いで言うと赤星さんも苦笑いで笑った。


お店が最近繁盛してる。

店長が無料配布の冊子に広告を載せてからだ。

今日もこのくらい話してたらお客さんが入ってきてそれからはひっきりなし。

会話はバイトが終わるまで仕事以外のことはなかった。
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