キスして
「お疲れ様でした、また明日…。って赤星さん明日休みでしたっけ??」

バイトが終わっていつものようにバイクを降り、聞いた。

赤星さんも週に1度の休みがある。

それが明日だったかあさってだったか。

とりあえず赤星さんのいない日のバイトは店長のマシンガントークの相手をしなきゃいけないからだいぶキツイ。

学校のことあれこれ聞いてくるもん。


「うん、明日休み。菜穂ちゃんは3日休みでしょ?」


「はい。じゃあ2日会えないですね。」


別に何も考えずに言った言葉。

でもそれはわたしの軽々しい言葉だったのかもしれない。


「……─知ってると思うけど俺さ、菜穂ちゃんのこと好きだから。」


突然起こった、突然聞こえたこの言葉にわたしの思考回路はストップ。

同時に聞こえてきたのは

「菜穂、それは微妙に告られてるんじゃない。気付いてないの??」

って前に言った鈴ちゃんの言葉。

2人は本当に確信してたんだ…。

お子様なわたしにはその意味を理解できてなかった。


「知って…ませんでした。」

そう言うと驚いた表情を見せる赤星さん。

でもそれと同時に笑った。


「なんか、さすがって感じだね。」

褒められてるのかけなされてるのかわからない言葉だったけど意味深く考える余裕はなかった。


「返事、強要するつもりとかもないし…。ただ我慢できなかったから言っただけだから。」

わたしは下を向いて小さく頷いた。


「でもっ…──もし付き合ってくれるんなら絶対悲しませないし悩ませない。絶対に大事にするから。」

そう言うと急いでヘルメットをかぶる赤星さん。

わたしに何も言わせないうちにまた口を開いた。


「じゃあ4日にね。」

そしてバイクを発信させた。

わたしは呆然と立ってた。
< 209 / 245 >

この作品をシェア

pagetop