キスして
逃げるんじゃない。

ただ自分の成長のため。

そう自分に言い聞かせるように小さく1人で頷いた。

一睡もせずに考えた少し肌寒い部屋のベッドの中。


わたしはある決意をした。

わたしは大きくなるんだ。


「鈴ちゃん、涼子ちゃん、わたし…休むよ。」

わたしのいきなりの言葉に首を傾けながら涼子ちゃんが問う。

「何が??」

その言葉にわたしはツバを1回のんで改めて話し始めた。


「学校。」


「「はぁ!?」」

2人が同時に発した。


わたしは新たな決意をしたんだ。

前々から興味があった語学留学。

外見がこんなんだし、外国人の人に話しかけられるのもしょっちゅう。

ずっと憧れてたこともあったアメリカ。

パパやママはずっと行けって薦めてくれてた異国の地。

行くことを決めた。


「わたし、アメリカに行きたいの。」

2人は何も言わずに顔を見合わせあった。

もうさっき、先生には話した。

休学手続きの書類ももらった。

単位をとれば進級扱いにもできるって言われた。

もう実行するだけ。


「菜穂が決めたことなら何も言わない。応援するわ。」

鈴ちゃんはわたしをしっかり見つめながら言った。


「わたしも!!本気って顔に書いてあるし!!寂しいけど頑張って!!いつから??」

笑顔の涼子ちゃん。


「ありがとう…。まだ留学会社が渡航時期を決めるらしいからいつからかわかんないけど。でもパパが入学したてた頃からあの話、あの話って言ってたことだったから…遅くはないと思う…。」

そう言うとまた無言に2人はなった。
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