キスして
涼風くんはもう廊下に出て行った。

後ろにはさっき言われてもへこたれない女の子がいる。

かなり話しかけにくいかも…。

しかも廊下だし人もいっぱいいる。

何て最初話せばいいんだろ。


「お、菜穂!!今行こう思っとったんやで~!どこ行くん??」


わたしは涼風くんを見つめすぎて気付いてなかった。

廉が居たことに。


「あ、廉。わたし…━━」


その時、廉の声に気付いたのか涼風くんが振り返った。

冷たい目でわたしを見てすぐプイッと前を向いた。

ヤバイ、また怒らせたかも…。


「す、涼風くん!!」

廉そっちのけでわたしは大声で呼んだ。

後ろにいた子も廉もこっちを見てる。

もちろん他の人だってわたしを見てた。


そして涼風くんも足を止めて振り向いてくれた。
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