キスして
そしていつものように屋上へ向かった。

一緒に初めて行く屋上。

そして行く時に初めて手を繋いだ。

涼風くんが何も言わずに手を握ってきたから。


嬉しくて笑顔が耐えなかったと思う。


でも屋上に行く途中、前から歩いて来た廉はその姿を見て驚いてた。

また目を丸くして詰め寄ってきた。


「な…なんで手繋いどるん?ま、まさか…嘘やろ??」


「なにがだよ。」


涼風くんが冷たく答えてくれた。

わたしは黙って涼風くんを見上げた。


「付き合っとるとか…ないよな??」


「付き合ってる。」


「嘘やろ???え、いつからなん?菜穂なんで言ってくれんかったん??」


わたしを見つめる廉の表情はさっきの涼風くんくらい不機嫌。


「ちょっと前。廉に言うタイミングわかんなくて。」


そう言うと涼風くんはわたしの手を引いて歩き始めた。


何も言わずに。
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