キスして
それからイラついた俺は顔を一度もあげなかった。

菜穂を見たら絶対いろんなこと言って後から後悔してしまいそうだから。

あの日のように。


そして昼休みになるといつものようにうるせー女たちが来た。

「一緒に食堂行こうよ~♪お弁当作ってきたの!!」

語尾にハートマークをつけたような甘ったるい言い方。


そいつらに思いっきり八つ当たりした。

そして修二に連絡しようと携帯を出した時に聞こえた声。


「お、菜穂!!今行こう思っとったんやで~!どこ行くん??」


吉岡の声だった。

近くにいた女がその時言った。


「吉岡くん、なんかいい感じなったよね~♪あ、わたしは涼風くんが好きだけど~♪」


俺はいつのまにか吉岡を見てしまってた。

そして近くにいる菜穂の姿も目に入った。


なんでそんな堂々と俺の前で2人で話せるんだよ。

俺、そんなに寛大じゃねーぞ?

もう嫉妬心がいっぱいになってて爆発してしまいそうだった。


それを一生懸命に押さえ、早く修二のところへ行こうと思って先を急いだ。
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