キスして
「す、涼風くん!!」

そのときだった。

大声で、しかもどもりながら聞こえた声。

間違うはずもない、菜穂の声。


すぐに俺は振り向いた。


菜穂が歩く姿は誰でもわかるってくらい緊張してた。

横についてくる吉岡が目障りだけど今すぐ抱きしめたくなるくらい可愛い。


「あの…ちょっといい??話したいことあって。」


聞いた瞬間手を引いてた。

独り占めしたくてたまらなかった。



そしてもう俺じゃないようなセリフ、言いまくり。

”名前呼ばせるな。”とか。


でも一緒に食べようと言った時の菜穂の表情が明るくて可愛くてそして素直に言ってくれた嬉しいの言葉に照れてしまって…逃げるように昼飯を取りに行った。


いつの間にこんな大きくなってたんだろう。

俺の想い。

かっこ悪いにも程がある。

ほんっとに情けないくらいだ。


そこで修二に今日は女と飯食うって連絡をした。

何も話してなかったから近いうち話すって言って電話は切った。

修二は誰か相当聞きたがってたけど。




そしてテーブルに行くとまた男に絡まれてるし。

それにまた嫉妬心丸出しでその男らを睨みつけた。

たぶん2年か??


「人の女になれなれしくされるとイラつくんだけど。」


なんてらしくないことだって言った。

近くにいた奴が驚いてこっち見てたっけ。

そりゃ俺に勝てるわけもなく、男らはいなくなったけど菜穂、危なっかしいなって改めて思った。

こいつ、そして自分が目立つって自覚してないし。

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