キスして
「ねぇ、クリスティアーノさん。昨日見たんだけど…。」


この日の3限目の休み時間、どこのクラスかわからないけど、知らない女の子3人が話しかけてきた。

涼風くんのファンかな??


「放課後、一緒に歩いてた人って彼氏??」


その言葉でパッとこっちを見たのは涼風くんだった。

そうだよね、昨日一緒になんて歩いてないし。


「でも噂じゃ彼氏は……」


そう言いながらその子は涼風くんを見た。

噂、まわってるんだ。

その子が見たせいで目が合った涼風くんはパッと目線を逸らした。

でも話は聞いてるみたいな表情は見るからにわかった。

ちょっとおもしろいけど…。


「うん、彼氏は涼風くん。昨日歩いてた人はお兄ちゃんだよ。親が結婚記念日だから一緒にプレゼント買いに行ってたの。」


そう言うと涼風くんは座ってる位置を少し下にずらした。

わかりやすくてやっぱりおもしろいかも。

でもそんなこと言ったら殺されそうだね…。


「そうなんだ。なんかすごいカッコイイ人だったから。お兄さん、彼女とかいる??」


あぁ、もしかしてお兄ちゃんに一目惚れ??

前もよくあった。

でもお兄ちゃんは1人で行動できず周りから責める女が嫌いらしく、こういうときはこう言えと教えられてる。


「お兄ちゃん、23歳以上の人しか付き合わないみたい…。」


そう言うと女の子たちは”ありがとう。”とあからさまに肩を落として帰って行った。


「涼風くん、ビックリした??」


そう言うとチラッとこっちを見て


「全然?んなわけないって思ってたし。」


余裕の表情だった。

焦ったのは、わたしの勘違いだったのかも。

そうだよね…恋愛経験というか女慣れしてるって鈴ちゃん言ってたし。

自意識過剰すぎちゃったな、恥ずかしい。

自信なくなってきた…ううん、ダメダメ!!


頑張らなきゃ…。
< 78 / 245 >

この作品をシェア

pagetop