永遠の。
『ご、ごめんなさいっ!』
慌てて振り返った先に立っていたのは、
あ、あの人だ…。
シャワーでも浴びたんだろうか?
ライブ後とは思えないぐらいサラサラの髪。
とても整端な顔立ち。
だけど
その切れ長な瞳はまるで…
何も見ていない。
それが、第一印象だった。
『お!碧伊!』
『碧伊!じゃねぇよ!いつまで、しゃべくってんだよ。ほら、機材運ぶぞ!』
『やべっ。ごめん、綺乃ちゃん!俺、行かなきゃ。また、遊ぼうね。』
うん。またね。
なんて、言う間もなくスタスタと二人は戻って行った。
あの人、碧伊っていうんだ…
彼が歩いて行った方向をずっと見ていた。
なんだか、目が離せなかった。
『綺乃?そろそろ、帰ろっか?』
友香姉ちゃんが穏やかな笑顔を浮かべて、覗き込んできた。
『そうだね。帰ろう。』
鞄から携帯を取り出して時間を確認した。
もう、10時前か。
なんか、今日は疲れたぁ。
ゆっくりお風呂に入りたいよ。
あ、そうだ!
もう、この時間だからみんなお風呂入った後だよねぇ。
久しぶりに泡風呂にしよ。
後、アロマキャンドルも。
それから−…
そんな私の隣で、友香姉ちゃんは苦笑いしてた。
『なによぉ。』
『べっつにぃ。若いっていいなぁ、と思ってさ。』
こっちを見てニコッと笑った後、空を見上げてた。
『友香姉ちゃん、老けるよ?』
『うるさいよ。』
たぶん、友香姉ちゃんには分かってたんだよね?
これから、私がまだ17年しか過ごしていない人生の中で、忘れられない想いを育てていくことに。