Re:
「なあ、お前らいつもこんな事してんの?」


聞き覚えのある声は

クラモト君達のじゃなかった

僕はトイレの便器に頭を押し込められていて

その声がすると

クラモト君の手に入る力が弱まり

ようやく顔を上げる事ができた。


「……ナカニシ……」

クラモト君はそう言った

チュウはトイレの入り口で壁にもたれながら僕らを見ていた

「オレの友達に何してくれてんの?マジで。」

僕が聞いた事のないチュウのトーンは

「お前の…!?はっ、まさか……っ」

「ウザイ」

クラモト君の胸ぐらを掴み、その体を壁に押し付ける

「アツムー、大丈夫かぁ?」

「…ぁ、だいじょぅ……ぶ…」

呼吸を整えようと必死になりながら返事をする

「なかなか楽しい事してくれてるな。」

クラモト君達を睨みながら言うチュウは

僕が見た事のない顔

「っ……くそっ!!行くぞ!」

チュウの言葉にクラモト君達は出ていった。


「チュウ・・・?」

どうして、ここに?

僕の今の姿を見られた…よね?

—こんな情けない、姿—

思った瞬間から

僕は恥ずかしすぎてチュウの顔が見れなくなっていた

「帰るだろ?」

僕を起こして

「土日のバイトの話しようと思って教室に迎えに行ったら鞄だけあっていねえんだもん、アツム。」

さっきとは違うチュウの表情は凄く穏やかだった。
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