Re:
リビングに入ると

「ナー…オ」

ゴンが足下に擦りよって来た。

「わ、昨日の……」

「あら、ホント。」

足下のゴンに気を取られていると女性の声がした。

「OKだろ?」

リビングのソファにチュウと女性が座っていた。

「あ…あの……?」

「あ、ごめんなさい。私、この子の母。アツムくん、ね?」

「は…はい。初めまして。フジワラアツム、です…」

いきなりの対面にビクビクしながら挨拶をする

「あら、良い子ね。どうぞ、座って座って。」

「失礼します…」

チュウの母と名乗る女性は髪が腰ぐらいある長さを後ろで一つに束ねているスラリとした長身

……僕より大きいかな。

「この子からバイトしてくれるって言ってたんだけど…ホント?」



「……あんた、騙して…」

僕のキョトンとした表情を見てチュウを疑う彼女

「違う違う。バイトは言ったけどまだ内容は言ってねえだけ。」

疑いを晴らすようにチュウは慌てて言った

「内容も言わずにバイトOKする人間がどこにいる?」

「だってオレ説明苦手なんだよ。」

「……ったく。」

「アツム、オレと一緒に散歩したり遊べばいいんだ。」

???

「あー…もう良い。あたしが話す。」

チュウの頬をつまみながら彼女は呆れたように言う。

「バイト…って言っても僕、今までした事ないんですけど……」

僕はチュウ達の会話を理解しきれないまま言う

「ああ、大丈夫大丈夫。そういう経験なんていらないから。」

「この子からあたしの職業聞いてる?」

「あ、はい。獣医さんだと…」

「そう。で、うちにいる子達と散歩したり遊んでくれれば良いの。」

…なんだかチュウの説明と変わらない気がする…

「入院してて治った子の遊び相手がバイト。あ、ちゃんと飼い主さんから許可もらってる子達だから心配しないで。」
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