Re:

少しだけ、なにかが動いた

「やってらんねー」

爪痕と噛み痕を見ながらオレは少し溜め息をついた。

「女にやられたんならまだカッコイイのになぁ?」

ニヤニヤしながらキョウちゃんはオレの怪我を手当てしてくれる。

「それ、教師が言う言葉?」

「はいはい。ノラ猫と大乱闘した健全な青少年だったな。」

保健室に入って来たオレは腕と胸が血まみれだった。

舐めてりゃ治る、なんてレベルの傷じゃなくなっていた。

母親は猫の手当はしたが息子の手当をする間もなく新たな患畜を診察していた。

で、学校の保健室で手当を受けている。

「しかしノラネコを素手で捕獲するとはな。」

オレの姿を見て笑いを堪えきれないキョウちゃんの声は震えていた

「………早く治療してくんない??」

恥ずかしさで俺はキョウちゃんにふて腐れながら言った。
< 130 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop