Re:
チュウがお風呂に入ってる間

僕はチュウの母親が食器を片付けてるのを手伝っていた。


「アツム君、あの子とケンカでもしてるの?」

当人がいないその時にいきなり聞いてきた。

「え…?」

なんて答えれば良いんだろう

「…ケンカ、というか…」

言葉が思いつかず、黙ってしまった。

「ケンカじゃないけどあの子自分でイライラしてるんだ。」

苦笑しながら納得したように言った。

「…僕が…イライラさせてるんです、多分。」

「そう?」


『僕が自殺しようとしたから』


そんな言葉は言えるはずもないけど…

「自分の感情がわからないんだよ、あの子。」

彼女は洗った食器を乾燥機に並べ、スイッチを入れる。

「?」

「ホントに困った子。」

急須と湯飲みを食器棚から出し、お茶を入れる

リビングのソファにくつろぎ、僕にお茶を差し出した。

「ゴンの時もだけどさ」

コクリ、と一口お茶を飲む

「ゴン…?」

「野良猫だった頃のゴンを雨の中素手で捕獲して」

「自分の体は傷だらけで『こいつの病気治してくれよ!!』って」

「誰かのために何かをするけど裏目に出て、自分は凄く傷を負って…」

「自分に鈍感で、他人に敏感。」

ジッと、僕の顔を見る。

「アツム君はあの子の初めての友達だから余計わからないんだろうね。」

「初めて…?」

「そう。あの子は口下手だし、昔から人付き合いとか苦手でね。」







「あの子は群れからはぐれてしまった一匹狼だね。」
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