Re:
「寒っ!!」

耐え切れず出てしまう言葉

家を出てから10回くらいは言ってる気がする。

なんでわざわざ寒いところに出ないといけないんだ!?

心の中で愚痴りながら

オレとアツムは真っ黒な夜空の下を歩いていた。

なるだけ外気に触れないようにお気に入りのニット帽を深く被り

「アツム、マジで行くのか?」

体をなるだけ寒さから守ろうと体を縮こませながら聞く

「え?行かないの?」

二人、人気のない道

「…いや、行くけどさ……」

白い息を吐きながら歩く

「近所の人が来る所だからそこまで混んでないし大丈夫だと思うよ。」

人混みの苦手なオレに気を使ってアツムは言う

「毎年行ってるのか?」

「そうだね。チュウは毎年行かないの?」

「あー…オレは兄貴が帰って来た時くらいだから。」

よく考えたら3年前に行ったきりだ

「お兄さんがいたの?」

驚いたように聞くアツム

「ん?ああ。今は仕事で一人暮らししてるから家にはいねーけど。無理矢理連れまわされるんだ。」

オレは一度も行きたいなんて言ってないのに

「いいなぁ。」

羨ましい、とアツムは言う

「そうか?」

アツムの言葉を不思議に思いながら

オレは自分の口から出る白い息を見る。
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