Re:
「・・・・・・何も、ありません」

僕は普段より少し大きめに、はっきりと言った

そうしないと、僕の動揺した激しく鼓動うつ心臓の音が先生に聞かれそうで

「貧血を起こしただけです。ちょっと昨日遅くまで起きてしまってたので。」

僕は沈黙を選択した

「もう、大丈夫です。僕も教室に戻って良いですか?」

早く

早くココから離れなきゃ

本能がそう僕の思考に訴えていた

「…………」

先生は僕の様子を伺ってる。疑いながら

「先生は僕がイジメにあってる所でも見たんですか?」

言える筈がなかった

「イジメも揉め事もないですよ。」

言ってしまえばラクなのに

「もし、何かあったら先生に相談にしますよ」

父さんや母さんに、僕の事で心配かけたくない

「本当に…?」

唯一の安全な空間が保たれなくなってしまう

目を閉じたまま深呼吸して

「はい」

俯いた顔をあげ、僕は先生の目を見て答えた。

「もういいですか?授業があるんで教室に戻ります。」

動揺がばれないように

先生の言葉も待たず

ベッドの足元にあったカバンと上着を抱え保健室をでた
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