Re:
僕は恥ずかしさをごまかそうと弁当を開けた。

毎日、母さんが作ってくれる弁当。

いつも多めに作る昨夜のおかずが中心の弁当には冷凍食品はない。

「アツムは母親に愛されてるんだなぁ」

僕の弁当を見て感心しながら言った。

「なあなあ、オレこれ食べたい。」

チュウは卵焼きとからあげを指差した。

無邪気にオネダリするチュウがなんだか幼く見えて笑みがこぼれる。

「はい。」

リクエストに応え、弁当箱のフタ小分けして渡す。

「サンキュ」

嬉しそうに手づかみ、パクリと食べた。

「んまいな。アツムの母親は料理上手だな。」

おかずを早々と食べ終え、自分のパンをまた食べる。

「チュウはいつもパンなの…?」

「ああ、オレの親は料理下手だからな。せめて昼メシだけはフツーの食べたくてよ。」

暗い顔をし、深い溜め息をついて。

そ、そんなに美味しくないんだ……?

僕はお気に入りのおかずを食べる



パンを食べ終え、カフェオレを飲みながら、チュウは思いついた

「よし、明日からアツムと昼メシ食おう。」

勝手に決める日課。

「僕の弁当食べる為に?」

「お、よくわかったな。」

悪びれもせず、チュウは笑う

僕も

そんな笑顔につられて笑っていた。


どれぐらいぶりか

話しながら、笑いながら

一人以上で過ごしたお昼は

いつもと同じ弁当のはずなのに

とても美味しく感じた
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