Re:
「とりあえず、起きて通路をあけてくれるかな」


驚いた。


一瞬、心臓が止まった気がする程。

誰もいないと思っていた自転車置き場

痛くて動かせない体はそのままで声のする方に視線だけを移すと


ハンドルにアゴを乗せた状態で自転車にまたがった人がいた。

僕と同じ制服を着てるから部外者ではない

だけど

規則通りにシャツはズボンに入れてなく

ブレザーは着てるけどネクタイは首にかけてるだけ

シャツのボタンは2つ程とめず胸元を開けていて

前髪がうっとおしいのか噴水状態に前髪をシンプルにゴムで束ねていた。


「ご…ごめんなさい」
慌てて起き上がろうとするけど体が痛く、よろめいた。


「おいおい」
グイッと左腕を掴まれ、起こされた。


「なんだぁ?お前、こんなとこでケンカでもしてたのか?すんげー制服ドロドロ」

言われて見ると紺のブレザーは砂まみれになっていて

「い…や……ちょっと、転んだだけで………」

咄嗟についたバレバレの嘘

「そうか。エライ豪快に転んだんだな。ちなみに、その中は血ぃ出てるトコとかあるか?」

深く聞くことも無い彼は僕の体を指して聞いてきた。

「だ…大丈夫です。」

オドオドしながら答える僕の声は小さい。

「んじゃ保健室は必要ねーな。今度は上手な転び方しろよ。」

そう言って、彼は自転車を走らせた。

「あ…ありがとうございます。」

さっきより意識して大きめに出した僕の声は聞こえたのだろうか

わからないけど

彼は振り返ることなく自転車を走らせ、校門内勤向かっていた。た。











……………あれ?
今、3時限目なんだけど―――…
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