蹴球天使
ボール side kaito
「カイトぉ〜、ミオもっとカイトと一緒にいたぃ〜」
この甘ったるい声は昨日から聞いているとさすがに嫌気がさす。
「俺、行くわ」
昨日からはなれない、
『何から逃げてるのか知らないケド周りの人なんか関係ないじゃん、ただサッカーを楽しめばいいんだよ』
レイの言葉。
俺だってやりてぇよ。
だけど無理なんだ。
俺は兄貴みたいに強くないんだ。
だから嘉藤選手の弟だからって期待されたって応えられないんだ。
こんな俺に仲澤先輩なら、なんて言っただろうか。
こんなことでサッカーを放棄したバカな俺を笑うだろうか。
もし、怪我を負ったのが仲澤先輩 じゃない、俺だったら今サッカー部は昔のように強かっただろうか。