蹴球天使
尚から“惚れちゃった”という言葉を聞くのは以外だった。
尚はずっと特定の女は作らないで、俺と同じ不特定多数と付き合っていた。
遊びで…。
女から逃げるように家から出てきたためか、今日は朝礼に間に合う位の時刻だ。
めんどくさ……。
調度部活の朝練を終えたスポーツバックを持ったヤツが多い時間帯。
「あ、カイト?」
スポーツバックを持ってジャージを着たレイは、“今日は速いね”と言うように語尾に[?]をつけてきた。
「おはよ」
「おぅ」
顔はそっくりだけどシイとレイが並んだとき、どっちがどっちだか分からなくなるようなことはないと思う。
それは雰囲気からも表情からもいえる。