蹴球天使
「お前、モデルの彼女もいたわけ?」
尚の呆れた眼差しを無視してシイを見る。
「久しぶり、カイくん」
「相変わらず食ってねぇだろ」
相変わらず細くて今にも折れそうな腕を見て言った。
「平気。ねぇ場所かえない?」
やっぱりこの低くて綺麗な声は落ち着く。
とりあえず歩きだし、近くのファミレスに着く。
椅子に座りながら聞く。
「何か用?」
「うん、私歌手デビューが決まったの」
シイは昔から、芸能界でトップをとることを夢見てた。
「それは、よかったじゃん」
「それで、カイくんはサッカーどう?」
「まぁ、それなりに」
本当はそれなりなんかじゃない。
みんなの期待に思うように答えられない自分に嫌気がさして結局サッカーからも逃げたんだ。
「……まだサッカー選手になる夢、もってるの?」