snake in the grass
≪ⅴ≫
翌日、潤が目を覚ましたのは、小鳥のさえずりではなく、変な胸騒ぎだった。
潤は素早く着替えを済ませ寝癖の付いたまま家を飛び出した。
「そんな、、、」
潤は自分の目を疑った。
小さな人だかりの中心に、心臓をくり抜かれた老爺が、墓の傍らに倒れていたのだ。
老爺は死後、時間が経っているらしく腐乱しており、所々骨が剥き出しになっている。
潤は老爺の周りに集まる人々を見詰める。
「誰がこんな事を、、、」
やっとの思いで発した言葉は蚊の鳴く様な声で、森の奥からの悲鳴でかき消されてしまった。
「叶夜さーん」
後ろから、きちんと化粧をした美月が息を切らして走ってきた。
「ここは私に任せて、叶夜さんは森へ行ってください」
潤は森へと走り出した。
今はこの村に警察は2人。
美月の存在が心強く感じた。