snake in the grass
「女性は無事なんですか!?」
「イヤ、息を引き取ったよ・・・」
美月は悲しい顔をした。
「首筋には2つの穴が開いていた。恐らくクドラクかそのシモベの仕業だろう」
「ちょっと待って下さい。叶夜さんは本当にそう思っているんですか!?」
「あぁ。今は信じてるよ」
潤の突然の告白に美月は驚いている。
「一般的に吸血鬼を退治するには杭で串刺しにするか、埋葬の際に膝から下を切断して復活を防ぐんだけど、棺桶の中に横たわるクドラクにはそのどちらもされていなかったんだ。刺さっていたのは左胸にナイフのみ。本当に吸血鬼ならば蘇る可能性はあるんだ」
「でもクドラクが蘇ったなら棺桶の中に死体は入っていない筈です」
美月は非現実的な潤に必死で否定する。
「俺も最初はそう思ったけど魂が一人歩きする事だって、誰かに乗り移って蘇る事だってあるかもしれない」
「そんな・・・」
言葉が見つからなかった。
「それに美月が話してくれた『言い伝え』でこの村に吸血鬼が居ることを俺は確信した」
美月はハッとした顔をした。
何かを思い出したようだ。