snake in the grass
≪Ⅷ≫
「クドラクの情報は何も掴めませんでしたね」
美月は残念そうな顔をしている。
潤は自分が掴んだ別の情報は話していないようだ。
クドラクの事を知っているのはこの村に住む者意外誰も知らない。
ならば情報を掴む為には村人に駄目元でも、聞いて回るしかなさそうだ。
「聞き込み調査だ」
二手に分かれてることにした。
潤は南側から順に民家の扉を叩いて回った。
最初は笑顔で出迎えてくれるのだが、クドラクと口にするだけで、皆顔色を変えて扉を閉めてしまう。
南から北へと扉を叩いて回ったが、残されたこの家が最後の家となる。
潤はゴクリと唾を飲み、震える手で民家の扉をノックした。
「はい」
明るい声で扉を開けたのは若い女性だった。
「何か用ですか?」
「あの・・・クドラクについてお話が聞きたいんです」
すると女性は顔色を変え辺りをキョロキョロと見回した後、
「判りました。早く入って下さい」
やっと情報が得られるとあって潤はホッとしている。
女性の名は鈴原真矢。
年齢は潤とあまり変わらない様に見える。