snake in the grass
潤は小走りで美月の元へ向かった。
「何か情報は掴めましたか?」
「あぁ。鈴原真矢さんって方が協力してくれたよ」
そう言ってピースサインをしてみせる。
「私も一軒だけ協力していただけました。杉原さん夫婦なんですけど、3年前に息子さんの拓海(タクミ)さんが亡くなられたそうです。家族の反対を押し切り無理矢理村を出たら、翌日に遺体で見つかって、首筋には獣に噛まれた様な跡があったと言っていました」
「その話なら鈴原さんから聞いた。だからそれ以来誰一人としてこの村を無理矢理出る者は居なくなったそうだよ」
「・・・話は少しそれるんですけど、この村は埋葬の際に火葬しないんですね。老爺を見た時驚きました」
「昔この村は欧米人だったんだよ。それで日本独自の火葬はしなかったそうだよ」
「叶夜さんは何でも知っているんですね」
「図書館にある『村のヒストリー』って本で得たの」
「なるほど。・・・これからどうするんですか?」
潤は一度上村家を見た後、美月に視線を戻す。
「もちろん上村剛さんにもご協力願おうじゃないか」
2人は上村剛の家へと向かった。