snake in the grass
しばらくすると背後の扉が開いた。
勿論入って来たのは村長の上村剛。
「お久しぶりです」
潤は立ち上がり一礼した。
美月もその隣で一礼する。
「あぁ、久しぶり」
上村真由子よりも深い皺をつくるが、その表情は何処か曇っているような気がした。
上村剛は潤達の正面にある高級そうな1人掛けソファーに腰を下ろした。
「初めまして。谷口美月です」
「私は村長の上村剛です。宜しく」
美月と上村剛は握手を交わした。
「初めてだね、君が誰かと来るなんて」
「今月から僕ら二人になったんです。改めて宜しくお願いします」
潤はソファーに腰を掛けたまま頭を下げた。
「最近変わった事はありますか?」
毎回この質問の後には必ず『平和ですよ』と笑顔で返って来るのだが、今日は違った。
「実は今朝、村の南にある森の中で女性の死体を見つけたんです」
その言葉に潤は一瞬時が止まった。