snake in the grass
≪Ⅸ≫
客間で上村剛と3人で背の低い机を挟んで向き合う。
「飛び出して行ったっきり帰って来ないから心配しましたよ」
上村剛は安堵の溜め息をする。
「ご心配おかけしました。実は森で遺体を発見したんです。その首筋には牙の跡がありました。それとクドラクのシモベとして血を飲んだと思われる老爺が掘り起こされました」
「やはり蘇ってしまいましたか・・・」
今度は不安の溜め息をつく。
「本当に蘇ってしまったのでしょうか?僕には信じられません」
潤は突然上村剛を疑いの目で見つめた。
「信じていないんですか!?現に2人も殺されているんですよ?!シモベだって・・・」
「それに叶夜さんはクドラクを信じてるって言ってたじゃないですか!!」
2人は潤の言葉に対して反論する。
「・・・僕、クドラクのミイラを見て気付いちゃったんですよ」
「棺桶を開けたのか!?」
上村剛の目は今にも飛び出してきそうだ。
「はい。確かに上村さんが言っていた通り、胸にナイフが刺さっていました」
「そ、そんな事したらクドラクに祟られてしまうぞ」
「いつまでそんな事言っているんですか?クドラクなんてこの村に存在しませんよ?」