snake in the grass
「上村さん、ご自分でおっしゃっていたじゃないですか。“森で死んでいた女”って」
この言葉に上村剛は一瞬だが身を引いた。
「何故死んでいたのが女性だと知っているんですか?僕は“森で遺体が見つかった”としか言っていません。・・・上村さん、口が滑っちゃいましたね」
潤は勝ち誇った様にニヤリと笑った。
上村剛は不敵な笑みを浮かべた。
「この村に警察が居ないのはバレない為。そして僕らを閉じ込めたのもバレないように殺す為ですね?・・・僕らが死ねばもう、この村にパトロールが来なくなると思ったから。違いますか?」
「あぁ、そうだよ。全て君の推理通りだ。そして君達には予定通り・・・」
上村剛は何処から出したのか右手にナイフを握り締めていた。
「死んでもらおうか」
潤は素早く立ち上がるが、その隣で短い悲鳴と共にバタリと倒れる者がいた。
・・・・・・見月だ。
反射的に潤は振り返った。
そこには蛇の頭を右手で掴んでいる上村真由子の姿があった。
「そんな・・・奥さんまで」
潤は今になって漸く犯人が一人でないことを知った。