snake in the grass
≪Ⅱ≫
上村剛を先頭に森の中を進む。
15分程歩いた所で上村剛は足を止めた。
そこから10m先に野苺に囲まれた、とても小さな建物があった。
よく見ると尖った屋根には十字架が付いていたが、壊れていて東西南北の北と東が無くなった様な形をしている。
木製の扉に描かれた十字架も剥げて同じ様な形になっていた。
そんなボロボロな教会の前には話の通り女性が仰向けで倒れていた。
女性の体は遠くから見ても青白いと判る。
近寄り死因を調べる事にした。
恐らく女性は野苺を摘んでいたのだろう。
籠や野苺が散乱していた。
死因は調べる程難しいものではなかった。
何故なら女性の右側の首筋に二つの穴が開いていたから。
動脈を傷付けてしまったらしく首は勿論、肩から指先までもに大量の血が流れ乾いた跡があった。
湿った地面にも乾いた血痕が見られた。
潤には二つの穴が何を意味するのか、まったく解らなかった。
足を止めた場所で教会の屋根を見上げている上村剛に傷口を見てもらう事にした。
「何かに噛まれた跡ですかね?」
潤は上村剛に訊ねる。
「、、、そんなっ、、、ああぁ、、、あああぁぁあぁ!!」