snake in the grass
≪Ⅲ≫
森を抜け無言のまま上村剛の自宅まで戻る。
最初に来た時と同じ様に客間に案内された。
「あの傷口に見覚えがあるんですね?」
「私の口からは、、、残念だけど何も教えられない」
「それ、どういう意味ですか!?」
すかさず美月が口を開く。
「だから何も言えないんだ。今も奴が私達を見ている」
なかなか冷静さを取り戻せない上村剛は落ち着きが無く、あたふたしている。
潤と美月は立ち上がり上村剛を宥める。
突然上村剛の動きが全て停止し、床から垂直に立ち何処か一点を見詰め、図書館、と囁く様に呟き上村剛は90度体を動かして潤と向き合う状態になった。
「図書館へ行って調べて下さい。私が喋ったら家内が、、、殺される」
上村剛は冷静さを失っている。
「殺されるって、奴って誰なんですか!?」
美月は上村剛を問い詰めるが、教えないの一点張りだった。
「判りました。美月、図書館へ行こう」
潤は立ち上がる。
美月は渋々了解した。
図書館は村の東側だ。