白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
高校3年の夏、俺も同じような想いを抱いていた。
そして、直も・・・・・・
俺は口癖のように言っていた。
“ゆっくり大人になれよ”って。
いつまでも俺の手のひらの上で悩んでいろって。
高校3年生。
自分の力で飛び立たないといけないような気がして、無理して空に向かって飛ぼうとする。
でも、そこに見える空は今まで見ていたような青くてきれいな空じゃない。
「ゆっくりでいいんだよ。大人になろうとしなくていい」
畑中は、頷きながら俺を見た。
「彼女いる?」
俺の質問に、あからさまに驚いた顔をする。
「・・・・・・彼女じゃないけど」
「片思い?」
畑中は、ほんのり頬を赤らめながら、体を斜めに向けた。
「その子と別れるのが辛いんだろぉ?」
「そんなんじゃねぇよ!!」
「好きって言ったの?」
「言ってねぇけど。てか言えるわけないし」