白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
先生に言わないでおこうと思った理由はもうひとつ。
“妊娠”の可能性、ないわけじゃない。
だから、ちょっとした体の変化を報告するのはドキドキする。
期待させちゃうかな・・・・・・って。
でも、自分では何となくわかる。
何となくだけど・・・・・・今回は、妊娠とかそういうんじゃない。
ちょっと考えることが多かったり、自分に失望したりしていたせいで、疲れたんだ。
仕事に戻ると、真由美さんが心配そうに声をかけてくれた。
「何かあるならいつでも話、聞くからね」
この前、トイレで泣いているのを見たせいかもしれない。
真由美さんは遠慮がちに微笑んだ。
「私じゃ、解決できないかもしれないけど、話すだけでラクになることもあるから」
真由美さんの寂しげな表情を見ていると、思い出す出来事があった。
真由美さんの不倫の噂が社内を駆け巡っていた頃。
私は、真由美さんから何も話してもらえないことに寂しさを感じていた。
今の真由美さんも、もしかしたら同じような気持ちなのかもしれない。
「また飲みに連れて行ってくださいね」
そう言うと、真由美さんはにっこりと笑って私の肩を抱いてくれた。