白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
沙織には高校生の妹がいた。
そのことは知っていたけど・・・・・・
その妹が家庭内暴力や家出を繰り返している・・・・・・と。
知らなかった。
沙織はいつも笑顔で前向きで、心の中にそんな悩みを抱えていたなんて。
「沙織の言うことも聞かないの?」
「うん。お父さんの言うことも聞かないしね」
夜中に両親とケンカして大声で怒鳴って、家を飛び出すこともしばしばだという。
私は、そう遠くはない記憶を呼び戻す。
今となっては忘れてしまいそうな過去だけど・・・・・・
あの頃、私の心の中は、ボロボロだった。
先生のことを考えている時だけが幸せだったなぁ。
「私のお姉ちゃんも、昔荒れてたんだぁ。あんまり人に話したことはないけど」
沙織は、とても驚いた顔をした。
沙織は今のお姉ちゃんしか知らない。
「信じられない。今は仲良しなんだよね?」
「うん。でも・・・・・・高校3年くらいまでは、ひどい関係だったよ」