白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~





滝から水が流れ落ちるように、私の記憶がどんどんよみがえる。




止めようとしても止められない。




幼稚園に入る前だったと思う。


お姉ちゃんが家の中の物をたくさん投げて、お母さんが泣いていた。


私がお姉ちゃんを見ると、お姉ちゃんはとても怖い顔をして私をにらんだ。



あれが初めて、お姉ちゃんを怖いと思った瞬間だった。




小学校の音楽発表会の日。


クラスの代表としてピアノ伴奏をすることになった。



お父さんとお母さんに聞かせたくて頑張ってピアノを練習していた。



でも、当日・・・・・・

お父さんとお母さんはお姉ちゃんの中学校へ行かなければいけなくなった。





本当は泣きたかった。


わがままを言いたかった。



でも、無理して笑った。





“見に行けなくてごめんね”と何度も謝るお母さんを見ていると、何も言えなかった。







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