白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
「沙織・・・・・・いつでも話してね。何もできないけど、話してね」
「ありがと。誰にも言えなかったから・・・・・・嬉しい」
人は、笑っているから幸せだとは限らない。
いつも元気だから、その人に悩みがないとも限らない。
どこから見ても幸せそうな家族だって、中に入ってみるといろんな悩みがあったりする。
私と沙織は、腕を組みながら駅までの道のりを歩いた。
家に帰りたくない?って聞くと、沙織は明るい笑顔で答えた。
“私が帰らなきゃ、家庭崩壊しちゃう”って。
細い体で、たくさんの重荷を背負って、戦っている。
私は沙織のことを、半分も知らなかったんだと気付く。
惚れっぽくて、立ち直りやすくて、明るく楽しく、前向きな子。
そんな風に思っていた。
沙織。
これから、もっともっと沙織を好きになるよ。
何もできないけど、私は沙織のそばにいるから。