白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
何度か話してくれたことがあった。
夢に見るんだって。
今は仲良しなのに、怖かった頃のお姉ちゃんが夢に出てくるんだって。
直は必死でお姉ちゃんをなだめるのに、お姉ちゃんには聞こえなくて、お姉ちゃんがどこかへ行ってしまう。
「思い出したのか?」
俺の質問に、直はわからないと答えた。
どうして泣いているのか、自分でもわからないんだと言って、体中を震わせて泣いた。
大野のことで泣いた日とは全然違う。
心の奥の傷。
消してしまいたい傷。
封印して、忘れたつもりにしていた傷。
その傷をまた自分で見てしまった。