白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
「私は、もう過去の話だから・・・・・・でも、沙織は・・・・・・今、苦しんでる。ひとりで抱え込んでるんだ・・・・・・」
直も苦しかった。
でも、乗り越えた。
直の家族は、みんなで力を合わせて・・・・・・乗り越えたんだよ。
お姉ちゃんも含めて、な。
直は、“先生のおかげ”って言うけど、俺の力なんて小さなものだった。
きっかけにはなったかもしれないが、向き合って乗り越えたのは、直達自身なんだよ。
直は、今まで沙織ちゃんの何を見ていたんだろうと言った。
俺もそう思うことはよくある。
たくさんの生徒の相手をしてきて、その生徒の心の中の真実を知った時・・・・・・ハッとする。
今まで俺、何を見ていたんだろうって。
向き合ってきたつもりなのに、何も見えていなかったと思うことが多い。