白いジャージ6 ~先生と愛のキセキ~
「先生、ありがとね」
「ん?」
「そこまで考えてくれてありがとう」
「直だっていつも俺のこと考えてくれる」
「先生はそれ以上だもん」
「ふふふ。また俺に惚れたかぁ?」
冗談じゃなく、本当に惚れちゃったよ。
結婚してこうして幸せに暮らしているのに、あの頃のことをしっかりと覚えてくれている。
きっと先生は一生忘れない。
おじいちゃんおばあちゃんになっても言ってくれるんだろうな。
“あの頃は泣かせてばかりでごめんな”って。
泣いていた記憶なんて私の中では消えちゃってるのにね。
「ちょっと早いけど、店向かうか」
なぜか、手を繋がずに、腰に手を回す先生。
ちょっと新鮮。
だけど、くすぐったい。
「先生、ちょっとエロいよ」
「俺のスイッチ、誰かが入れたみたい」
腰に手を回して、体をくっつけて歩く。
ゆっくり。
ゆっくり。
薄暗くなった空を時々見つめて、ふたりで微笑み合う。