しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
幸福
壮吾。壮吾。
いつもの通学路を歩きながら、心の中で連呼する。
“柊先輩”から、いきなり“壮吾”に呼び方を変えるなんて、そう簡単にはできないと思う。
だけど、嬉しかった。
柊先輩… ううん。
壮吾と付き合うことになったなんて、本当は夢だったんじゃないかって思っていたから。
『壮吾でいい』
昨日の、壮吾の声がまだ耳に残ってる。
風邪で少しかすれていた、セクシーな声。
不謹慎かもしれないけれど、心臓が壊れてしまうほど、その声に鼓動が高鳴った。
私は、本当に壮吾の事が好きなんだな。
そう思うと、片時も離れたくないと、また欲が深くなった。
キュ――ッ!!
後方で聞こえた、自転車のブレーキの音。
振り返った瞬間朝日が眩しくて、私は顎を引いて手を前にかざした。