しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


涙を流し過ぎたせいか、徐々に、腫れる瞼が重くなってきた。


私って、薄情。

こんな状態なのに、眠気に襲われるなんて。


赤い手帳をベッド横の棚に放り投げ、バタンと体を倒した。


意識が薄れ、暗闇に包まれる。


そこは、私1人だけの世界。

光も、風も、音も、何もない。


目の前には道があるのか、それとも、崖っぷちなのか――。


暗闇の中の私は、ただ、ぽつんと、そこに立っていた。







『……う』


あれ? ここは無音の世界だと思っていたのに、遠くで誰かの声がする。


『み……う。……よ』


それは、徐々に、はっきりと聞こえるようになった。


この声を聞くと、とても心が落ち着く。


私が病んでいる時、必ず優しく包み込んでくれる声だ。


まどろみの中で聞こえた優しい声に、私の体はフワフワと宙を舞った。




< 175 / 400 >

この作品をシェア

pagetop