しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「美羽。 起きなさい」
夢か現実かもわからないぼやけた視界に、私を覗きこむお母さんの姿が。
重たい瞼を、ゆっくりと開く。
「起きた? お友達が来てるわよ」
.......友達?
その言葉を聞いた瞬間、私は暗闇からはい上がって、一瞬で現実の世界へと戻ってきた。
体を勢いよく起こすと、突然の事に驚いた心臓が、忙しなく動き始めた。
「と、友達って… 女の子?」
「そうよ。 とてもかわいい女の子」
何を言ってるの? といった感じで、お母さんが答えた。
「その子、1人?」
「1人。あんた、どうしたのよ。会いたくない人でもいるわけ?」
何も知らないお母さんは眉をひそめ、
「部屋に案内するわよ?」
と、ドアへ歩いて行った。
びっくりした……。
友達と聞いて、一瞬壮吾の事かと思った。
今は会いたくない。っていうか、今は会えない。
どんな顔をして会えばいいか、わからないから。
お母さんが部屋から出て行ってすぐ、遠慮がちにドアから顔だけ覗かせる日和が現れた。