しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


“壮吾”...。


今、壮吾の名前を聞くと、心臓が疼く。


心配してた? 他に女がいるのに?


信じたくないと思いながらも、疑っている自分がいる。


「でも、まぁ。 何となく想像はつくけど?」


チョコケーキの入ったプラスチックの蓋を開ける日和の視線が、棚の上に広げて置いてあった手帳に向いた。

私の涙で、文字が滲んでいる。


「レオくんの事でしょ?」

「………」

「どうだったの? “R・E計画”は」


ケーキをパクっと口に運んだ日和は、目だけを私に向けてきた。


どうだった?

空回りどころか、自分の考えの、甘さに気づいた。


「そっか……。やっぱり、難しいよね。一度傷の付いた心を、修復させるってさ」


俯く私の表情で理解してくれたのか、日和は眉間にしわを寄せて話し出した。


「私らが思ってるよりも、ずっとレオくんの傷って深いんだろうね。どんなにレオくんの事をわかろうって頑張ってもさ、実際、私達ってそんな経験ないわけじゃん?レオくんと同じ気持ちになって接しようとするのは無理だし、だからと言って、放置はできないし」


そう、だよね……。

私は、恵まれた家庭で育った。


よく夫婦喧嘩の場面は見るけれど、時間がたてば、3人で笑いあえる。


普通に、幸せな家庭なんだ。


そんな私には、全く想像ができない。



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